「リフォーム」か「建替え」か【2009/03/05】

一戸建て住宅に住んでいて、その住まいへの不満が溜まってくると「リフォームか「建替え」か考えるようになるものだ。この両者はまったく性格の異なる計画であるだけに、当事者にとっては頭を悩ませる選択となる。



まず「リフォーム」において着目すべきポイントは現在の建物の基本構造(基礎・土台・柱・梁)の状態。建物の構造体は、普段隠れて見えない部分が多く、見積りにやってきた業者がザッと一見しただけではわからない。外見上は大丈夫と思っていても、いざリフォームに着手してみるとあちこち傷みがひどく、結局大規模な補修工事を余儀なくされたという話を耳にすることもあるだろう。

特に1981年(昭和56年)6月の建築基準法の新耐震基準施行前に建てられた建物は十分な耐震強度をクリアしていないケースが多い。住んでいる建物が該当する場合は、計画を進める前に利害関係のない専門家に調査診断を依頼してみたほうがいい。外見上はどんなにキレイに化粧直しをしても、中身の骨格がボロボロでは数年ごとに補修工事の繰り返しになりかねない。大切なお金をムダにしないためにもおススメしたい。

ただしどんなに優れた専門家でも建物の隅々まで完璧に調べることは不可能であり、リフォームを選択した場合には万が一の追加工事費用を予算組みしておくことも必要となる。

「建替え」の場合は、リフォームで発生するような心配はない。一からつくるのだから、構造、間取り、外観、設備、居住性能など、予算と照らし合わせながら自分の希望する家づくりを進めることができる。

だからと言って、あらゆる点で建替えがリフォームに勝っているかといえばそうとも言えないのが悩ましいところ。

まず第1に、建替えはリフォームに比べて工事費用が高額になるのが一般的。解体工事からはじまり、すべての材料、部材が新品で、工期も圧倒的に長くなるのだから当然である。

第2に、建替え建物が建築された時代と現在とで、法律や都市計画などが異なっていることがよくある。例えば、建ぺい率・容積率制限や道路境界線からのセットバック、各種斜線制限などで、いまの家より小さな家しか建てられないという問題が起こることさえある。

そして第3に、建替え期間中の仮住まい、荷物の保管、植栽の移植、ペットの問題などリフォームにはない苦労や費用が発生することも忘れてはならない。

このように、「リフォーム」と「建替え」のどちらを選択するかはとても大変な作業だ。だからこそ「今」だけを基準にすることなく、「将来」の家族のライフプランを見据えながら慎重に決断することが必要である。

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