Q:相見積りはどうやってとればいいのでしょうか?

はじめまして。一戸建てを検討中の■■と申します。現在HM3社を検討していて、プランが出揃いこれから見積りの提示を受ける段階です。プランは私たちの希望を伝えて3社に作っていただいたもので、どれも一長一短といった感じで悩んでいます。この状態で相見積りはどうやってとればいいのでしょうか?



A:回答

『今の状態ではまだ早い』

結論から言うと今の段階ではまだ早いです。

施工会社選びの最終ステージに直面した方は、インターネットや住宅雑誌で情報を集め住宅展示場や現場見学会に足を運び、資金計画を立て、ほぼプランが固まり、そして見積りの提示を受けます。ここで1社に絞り込んでいるケースは稀(まれ)で、大半の方がここでまだ数社を候補リストに残しています。

■■さんと同様に3社という方が結構多いですね。人が決断するときには「3つの中から」というのがもっとも選びやすいそうなので、自然と3社になってしまうのかもしれません。日本では食事でも「松・竹・梅」の3つにランク分けしたりします。

さて絞り込んだ各社から基本設計図面と見積書が提示されます。説明をきくと、どれも捨てがたいでしょう。これまで時間をかけ検討を重ねた結果です。それぞれ心に訴える魅力を持っています。

提出されたたくさんの資料を見比べながら毎夜夫婦で検討の日々が続きます。

・動線はこっちがいい
・外観はあっちがいい
・金額はここが一番安い

回答期限の日ぎりぎりまであれこれ迷いつづけることになります。

でもよく考えてみてください。これで正しい比較ができますか?

平面プラン、外観デザイン、構造、仕様設備、そして金額、全部がバラバラの状態で比較検討することはプロでも至難の技です。

例えば車を比較して買うとします。

気に入った車種が1台あれば、その車種と同レベルの排気量、エンジンシステム、ドア数、スタイル、価格など基本条件を揃えた上で比較するはずです。

もしもトヨタのアクアがいいなと思ったらホンダなら比較車はフィットになるでしょう。販売ターゲットが同じライバル車同士。比較は容易です。間違ってもステップワゴンのようなミニバンと比較することはないと思います。

パソコンを購入する場合も同様。ウインドウズマシンの比較相手がアップルという可能性は非常に少ないはずです。

この様に基本条件を揃えることで比較する基準が明確になっていきます。

車やパソコンなどはまだ楽です。基本性能や価格相場を皆さん経験と知識で知っています。

・この価格帯のクルマならこの程度の性能は期待できるはず
・このレベルのパソコンはこれくらいの価格で買えるだろう

試乗したり触ってみることも可能です。

しかし注文住宅は完成前の試乗やお試しは絶対にできません。比較方法を間違った結果、悔いの残る家づくりになってしまうことがあります。

『条件を揃える』

では注文住宅の相見積りはどうすればいいのか?

基本条件を揃えることです。

各社バラバラなプランで図面が作られ、見積書の内容も不統一では基本条件が揃いません。

一戸建て注文住宅の相見積りでは、次の5つの条件は揃えておくことです。

1.間取り(基本プラン)
2.外観デザイン
3.基本仕様(屋根・内外壁・床など)
4.基本設備(キッチン・バス・トイレなど)
5.基本性能(構造強度・断熱など)

3つのプランのどれにしようかと迷っている段階では相見積りになりません。いずれかひとつに絞って比較するようにしましょう。
プランは会社を選んだあとでいくらでも変更することが可能です。

『必ず見積内訳を確認する』

そして重要なポイントは見積り内容です。

ハウスメーカーや工務店の中には、次のような資金計画書程度の見積書だけで契約の決断を迫る会社があります。

(例)
本体工事 一式 1200万円
オプション工事 一式 500万円
付帯設備工事 一式 150万円
諸経費 一式 150万円
消費税 100万円
合計 2100万円

こんな大項目だけの見積りではプロでも比較することは不可能です。着工前の注文住宅には目に見えるものが何もありません。
だからこそ、どの部分に、どんな材料を、どれだけの数量使用するのか、明確にしておくことが非常に重要です。

しかし残念ながらこんないい加減な見積書がまかり通っているのが建築業界の実状です。会社のルールとかいう訳の分からない言い訳から見積内訳書を提示してくれない会社はたくさんあります。どうやって検討しろと言うんでしょうか。こんな状態で契約すると、あとから追加工事の発生や言った言わないなどトラブルになりかねません。見積り内訳の提示を拒み、いい加減な概算見積りだけで契約を迫る会社は候補から除外したほうがいいと思います。

つまり図面と見積り内容を共通のものにしなければ相見積りにはならないということです。

相見積りの際には、できる限り基本条件を揃えて、見積内訳まできっちりと提示を受けて行うようにしてください。

『バランスがポイント!』

個人住宅の設計提案は、たまたま担当した設計担当者の力量に左右されるもので、会社の総合力を測る絶対的なモノサシではありません。3社の中で気に入ったプランがあれば、他の2社にもそのプランで見積りをしてもらえばいいのです。そのプランはその会社でしかできないわけではありません。割りきってしまいましょう。

施工会社選びのポイントは、技術力、価格、信頼のバランスを見極めることです。そのためには同じ土俵で競い合わせてはじめて正確な比較に結びつきます。

俳優のオーディションも同じです。同じ舞台の上で同じ演技をさせて見極める。そうでなければ正当な比較にはならないはずです。

ある一面だけをみただけの決断は禁物です。

繰り返します。相見積りの際には基本条件を揃え、見積内訳まできっちりと提示を受けて行うようにしてください。

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