Q:住宅展示場でモデルハウスを見学するコツはありますか?

はじめまして。●●と申します。現在土地探し中で注文住宅を考えています。どこに工事を依頼するかまだ決めてはいませんが、知っている工務店がありませんのでハウスメーカーの中から選ぶことになるのかと思っています。住宅展示場を見学してみたいと思いますが住宅展示場でモデルハウスを見学するコツなどありますか。教えていただければ幸いです。



A:回答

【ポイント】
1.雰囲気にのまれないこと
2.自分のペースを守ること
3.標準仕様とオプション仕様を確認すること
4.本体価格と坪単価を確認すること


『雰囲気にのまれないこと』

住宅展示場に足を運びモデルハウスを見学すると、各社設計部のトップデザイナーたちが考え抜いた外観デザイン、購買欲をそそる最新の設備機器、うっとりするようなインテリアの数々に目を奪われます。

それは我々業界内の人間でさえも同様です。

まず玄関に足を踏み入れた瞬間、その規模に驚きます。普通の家の何倍もある玄関と玄関ホール。頭上には大吹抜空間がひろがり、思わず「素敵!」と声を発してしまいそうになります。

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しかしここで雰囲気にのみこまれてはいけません!

あなたのつくる家に、この広さの玄関はフィットしないはずです。たとえ「いいねぇ!すごいねぇ!」と口に出しても決して冷静さを失わないでください。あなたの示す反応は出迎えた担当者にしっかりチェックされています。

優秀な営業マンは、お客さまの様々な反応に応じた接客法を身につけているものです。あなたの発する言葉に合わせ、応酬トークを駆使することなど朝飯前。雰囲気にのまれてしまうと、無意識のうちに彼らの描く商談シナリオに引き込まれていくことになります。

『自分のペースを守ること』

靴を脱ぎホールに上がります。

営業マンの中には靴を揃えながらお客さまを判別する人がいます。デパートや自動車ディーラーなどでも同様、お客さまの履いている靴に生活水準があらわれるといわれているからです。

知らず知らずのうちに、履いている靴で値踏みされているかもしれません。

かつて私のお客さまから、そういった営業マンの習性を逆手に取り、短パンにタンクトップ、ヨレヨレのビーチサンダルでモデルハウス見学に行き、反対に営業マンの資質を試してみた、と聞いたことがあります。なかなかおもしろい試みだと思いますね。

次の玄関ホールに立ちます。右左どちらに進むべきかと立ちすくんでいると「どうぞこちらにお進みください」とやさしく誘導されます。この誘導順序もマニュアル化されていると思って間違いありません。

そして今度はリビングルーム。洗練されたインテリアに目が奪われます。

「よろしかったらこちらにお座りください」やさしく声をかけられます。これをハウスメーカーでは「着座(ちゃくざ)」といい、来場客のうち何組のお客さまが座ったかを「着座率」という数字でデータ化するほど、展示場営業における最重要ポイントのひとつ。だから営業マンはあの手この手で着座をすすめるわけです。

輸入品のソファーは抜群の座り心地。視線に飛び込む調度品も素敵なものばかり。しかしここで気分が高ぶらないように注意しなければなりません。

そこは腕利きのインテリアコーディネーターやカラーコーディネーターによって、見学者の気分を盛り上げるように設えられた空間です。ソファーに座ったときの目線の高さまで綿密な工夫がなされています。

あなたは高級ホテルの雰囲気を味わいに来たわけでなく、自分の家づくりの勉強に来たのです。だから決して気分を高ぶらせることなく、あくまでも、自分のペースを守ることが肝心です。

『標準仕様とオプション仕様を確認すること』

モデルハウスの中には建築費1億円ほどのものもあります。規模は大きくキッチンやお風呂、洗面化粧台など設備機器は最高級品が備えつけられています。

また床材、壁紙など内装仕上げ材にも普通の家には使用されない高グレード品が惜しみなく使われています。

どんなに素敵でも、使用されているもののすべてがあなたの予算に見合うものとは限りません。標準仕様はどれで、オプション仕様はどれか、その差額はいくらかをきちんと質問し確かめておくことが大切です。

『本体価格と坪単価を確認すること』

モデルハウスの価格を訊ねると、こんな答えが返ってきます。

「このモデルハウスは総額1億円です。ただ当社の標準仕様なら本体価格坪単価50万円からできます!」

最初から標準仕様を見せてくれたらいいのに、と思ってもこれが現実です。お客さまの気分を思いっきり高揚させ、まず自社のファンになっていただくことがモデルハウスの使命だからです。

そして標準仕様の説明を受けます。「キッチンは3ランク下のコレ、お風呂は2ランク下のコレ・・・」聞いているうちにだんだん熱が冷めていくかもしれません。なぜならモデルハウスに使用されているもののほとんどが坪単価50万円の標準仕様ではないからです。

そして標準仕様の価格には、照明器具もカーテンもエアコンも諸経費も家具も、そして必ず必要となる屋外の上下水道工事、電気・ガス工事、外構工事などは含まれていないことを忘れないでください。

また標準仕様坪単価50万円の家は、どんなカタチの何坪の家のケースか必ず確かめてください。一般的に仕様設備が同じなら、床面積が大きくなるほど坪単価は安くなります。

例えば「総2階建て延床面積40坪の家が標準仕様でいくら?」、という感じで具体的な質問をぶつけてみることです。

曖昧な回答をする場合は、信頼に値しないので早い段階での見極めにもなります。

『目的を明確にして見学すること』

家づくりをスタートさせると住宅展示場を訪れる方が多いものです。そこに行けば大手ハウスメーカーや地元有力工務店の最新モデルハウスが何棟も無料で見学できます。

そこは各住宅会社が莫大な建設費と出展料などの維持費を使い、何人もの貴重な人材を配置した営業部隊の最前線基地であると思ってください。

訪れる見込み客を、自社の顧客にするための仕掛けが張り巡らされていることを常にアタマの片隅に覚えておいて欲しいと思います。

ぜひ上記のポイントに気をつけて、あなたの得たい情報は何なのか、参考にしたいものは何なのか、目的をきちんと明白にした上で見学されることをお勧めしておきます。

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