Q:営業マンの見極め方があれば教えていただけますか?

こんばんは。はじめまして。●●と申します。ハウスメーカーで家を持ちたいと考えています。今はミサワと積水ハウスがお気に入りで、お休みのたびに住宅展示場めぐりを楽しんでいます。会社の同僚からアンケートを書くとしつこくされると聞いたのでまだどこでも書かずに見学だけさせてもらっています。でも具体的に進めていくには営業マンの方とお話しをしなければならないので、そのときのために営業マンの見極め方があれば教えていただけますか。たぶん私たちには最初で最後の家になると思います。絶対に失敗はしたくないのでどうかご教示のほどよろしくお願いいたします。



A:回答

【ポイント】
1.あなたは営業マンを選べない
2.営業マンは顧客を選ぶ
3.営業マンは養成トレーニングを受けている
4.営業マンにとっては常に当社が一番である
5.営業マンを見極める3つのポイント
6.自分の仕事への思い(想い)を確かめる


『あなたは営業マンを選べない』

モデルハウスや現場見学会に行くと営業マンに出会います。

あえていえば、大手ハウスメーカーの営業マンだけではなく、小さな工務店の社長や現場監督もみな「ウチで家を建ててください!」と願っている営業マンにはかわりありません。

営業マンから手渡されたアンケート用紙に名前を書きます。ときには会社全体でアンケートを集め、あとから個々の営業マンに配布し担当決めすることもあります。いずれにしても、あなたの個人情報はある営業マンの担当する顧客として会社のコンピュータに登録されます。

それ以降、その会社のどこのモデルハウスに行こうと、どんなイベントに参加しようと、原則的に最初に登録された営業マンがずっとあなたの担当者となります。

」です。

「あのひと嫌!かえて欲しい!」と申し出ない限りかわることはありません。
何も言わなければあなたが営業マンを選ぶことはできません。

もし「その会社とは付き合いたい。でもあの営業マンが嫌い!」という場合は、決して遠慮せず責任者に申し出てみることです。
おそらく別の誰かに変更してくれることでしょう。

『営業マンは顧客を選ぶ』

お客さまとは逆に営業マンは顧客を選ぶことができます。

例えば自分の知識がおよばぬ質問に面倒臭くなれば「ウチではムリです」とあっさりと投げ出し、挙句の果てに、社内において「あの人、ウチの客じゃないですよ!」とまるでブラックリストのように扱う輩(やから)もいたりします。

偶然出会った、たった一人の営業マンとの相性の悪さで、大事な家づくりをダメにしたのではたまりません。

この場合でも、会社とは付き合いたいのであれば、我慢などせずに担当者の変更を申し出るべきです。

『営業マンは養成トレーニングを受けている』

ハウスメーカーの営業マンは専門的なトレーニングを受けています。

分厚いマニュアルには、心理学や人間行動学などに基づく様々なケースへの対応法が網羅されており、繰り返し行われるロールプレイング(模擬商談)で、この質問にはああ答える、こう言われたら黙って待つ、目線の配り方や手の組み方まで訓練されている場合もあります。最近は工務店の社長向けの営業研修なども数多く開催されていますから、「小さな工務店のオヤジさんだから大丈夫だろう」と思っていると、まんまと営業手法にはまってしまうかもしれません。

営業のベテランになると、あなたから発せられるだろう質問への回答は、あらかじめ数パターンは用意していると思っていたほうがいいでしょう。そんな営業のプロフェッショナルたちと商談を繰り広げるわけです。だから大変です。

『常に当社が一番』

住宅営業マンの仕事は自社の受注を獲得することです。これは住宅業界だけでなく、すべての営業マンはみな自社の商品やサービスを売ることを仕事にしています。

たとえ他社より劣っているとわかってはいても、積極的にそれを口にすることは絶対にありません。ああだこうだと説明(説得)を受け、結局「当社が一番」だという結論を聞くことになります。

どこへいってもみんな「当社が一番」です。
その中から1社を選択しなければなりません。

だから見極め能力が必要になります。

『「いい人」が「いい営業マン」とは限らない』

世の中には「営業マン=悪人」というイメージが少なからずあります。学生の就職活動の中でも、営業職、特に「住宅営業」は最も人気のない職業のひとつではないでしょうか。しかし住宅営業マンの多くは決して悪人ではありません。信頼できる営業マンは家づくりにおいて頼もしいパートナーになりえます。

なかには「いい人だから」という言い方で営業マンを評価する方がいらっしゃいます。その方々に「いい人」の意味を尋ねると「話しやすい」「清潔感がある」「休みもとらずいつも一生懸命」などの回答をいただきます。

ただ「いい人」だから「いい営業マン」とは限りません。単に押しが弱い性格の場合もあります。生まれながらのイケメンの場合もあります。仕事の効率が悪くて残業や休日出勤をしている場合もあります。大事なことは友達づくりではなく、家づくりのパートナーとして「いい人」「いい営業マン」なのかということです。

トップセールスだから」と営業成績をもとに優れた営業マンだと評価されがちですが、それは雇用する会社にとって優秀なのであって建築主にとっても優秀な存在かといえばそれは大いに疑問です。いくら成績が良くてもお客さまは二の次でトラブルになれば会社と自らの保身に走る自分本位なタイプもなかにはいます。 トップセールスやベテランでなくでも大丈夫です。営業マンが現場でカナヅチを振るわけではありません。目安として建売を除いた一戸建て注文住宅の引渡し実績が10棟以上あればいいと思います。計画開始から引渡しまで、ひと通り注文住宅の家づくりプロセスは理解できているはずです。

現場の納まりなど技術的な専門知識はあまり期待する必要はありません。どこどこのハウスメーカーの営業マンは専門知識がないからレベルが低いという声も聞きますが、ハウスメーカーにはそれぞれのスペシャリストがいます。現場のことは現場の専門スタッフに聞きましょう。営業マンはその取り次ぎを上手くこなしてくれればいいのです。それがハウスメーカーの家づくりです。

営業マンの存在価値をお芝居にたとえれば、主役(建築主)と脇役(会社)との間で、お芝居全体をコントロールしていく演出家のようなものだと思います。

『営業マンを見極める3つのポイント』

次の3つのポイントを見極めのモノサシにしてください。


<営業マンを見極める3つのポイント>
1.【情報提供能力
自社の自慢話や他社の誹謗中傷ではなく正直に正確な比較説明ができる(構造・性能・価格・アフターサービスなど)

2.【ヒアリング能力
お客さまの夢や要望を上手に引き出すことができる

3.【信頼性
約束を守る・嘘をつかない・間違いを認める・記録を残す



※その他
社内営業が上手い営業マンはいい営業マンです。言い換えれば調整能力があるということです。小さな工務店とは違ってハウスメーカーの場合には同時に多くの現場が動いています。あえて言うならば、会社にとってお客さまは一人ではないのです。その忙しい状況下で営業マンの設計・工務・インテリア・資金・登記など関係するスタッフとの業務調整能力は、建築主にとってストレスのない満足のいく家づくりができるかどうかを大きく左右します。ハウスメーカーのモデルハウスやオフィスで打合せの機会があればちょっと気をつけて観察してみてください。その営業マンの社内での立場や人間関係を感じ取ることができると思います。

『自分の仕事への思い(想い)を確かめる』

住宅業界は転職が非常に多い業界です。毎年私のところには最低5枚は挨拶ハガキが届きます。他業種では考えられないかもしれませんが、これまで競合していた他社へあっさりと移ったり、鉄骨系プレハブメーカーから在来木造の会社へ移ることも珍しくありません。サラリーマンですから担当する現場の完成前でも突然退職することだってあります。それが仕方のない現実です。

ハウスメーカー選びで営業マンの良し悪しにあまりにもウエイトを置き過ぎると、家づくり全体を大局的に見られなくなる恐れがありますから気をつけましょう。

最後に、営業マンと出会ったら次の質問を投げかけてみてください。

なぜ住宅営業の仕事についたんですか?」

気の利いたものではなくどんな回答でもかまいません。即答できるかどうかを見極めます。
商品の特徴や過去の実績ならスラスラと答えられても、こんな質問への回答はたぶん用意していないでしょう。

いきなり質問されて即答できる人は、住宅業界の仕事に対してしっかりと自分の思い(想い)をもっているはずです。
ぜひ試してみてください。

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