解体工事の個人依頼急増でトラブルに

全国解体業者振興センター(運営:スカイブリッジ、神奈川県川崎市)は最近の解体工事の傾向を公表し、一般の住まい手に対して注意を呼びかけている。「年間190万戸時代」といわれる1954年~73年に建てられた住宅が築40~60年経過したことで一挙に建て替え・解体時期を迎え、解体工事が急増。なかでも景気低迷や少子高齢化の影響を受け、空き家になった実家を処分するための解体や、相続にともなう解体が増加傾向にあり、個人が直接解体業者に工事を依頼するケースが増えているという。また、中間コスト(工事金額の2から3割)を削減するために建築会社などを通さず、個人がインターネットで検索した解体業者に直接工事を依頼する分離発注も増加。こうした解体工事の知識・情報がない個人依頼が増えたことで、「悪徳な解体業者から高額な代金を請求される」「不法投棄している解体業者に依頼してしまう」「適当な工事を行った挙げ句、隣家を傷つける」など様々なトラブル事例が発生。社会的問題化しているという。同センターは、個人が解体業者に直接工事を発注する際、最低確認しておかなければならないポイントとして次の4点を挙げる。1、解体工事を専門的に行っている解体業者。2、「賠償保険」に加入している解体業者。3、解体工事に関する許可証一式を取得している解体業者。4、工事前に契約書を書面で交わす解体業者。同センターは、独自の審査基準をクリアした解体業者の全国ネットワーク組織。今後も解体業者が抱える問題に対処するため中立的な解体工事の専門家集団として活動していくとする。【新建ハウジングWEB:2012/5/2】

【独り言】
解体工事は、家づくりの中で、唯一「壊す」ことへお金をかけるプロセスであることから、「少しでも安く!」というのが普通の人の心情だろう。しかし、トラブルが多いのが解体工事。近隣住民からの「音」「ホコリ」「振動」などへのクレームや、解体業者との間で工事範囲の取り決めが曖昧だったりすると、後々大きな問題になることも少なくない。経験からいえば、建築コストをケチる目的で個人の施主が直接解体業者に発注することは避けたほうがいい。解体業者の中には「コワモテ」の業者も少なからず存在するし、まず第一に、仕事が良いか悪いか、上手いか下手か、高いか安いかなど、一般消費者が比較することなどできるわけがない。その結果、単純に表面的な姿形、見積りの高低だけを判断材料に業者決めをしてしまうことになりかねない。新築工事を任せる建設会社が間に入れば、確かに20~30%程度の経費が上乗せになる。それをもったいないと考え、万が一のトラブル発生ときは自己責任で対処するか、それとも、建設会社にすべてを任せて、精神衛生上、気楽な方を選択するか、よく考えるべきだと思う。

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