土地選びのポイント ~ライフプラン~【2008/12/24】

「気になる土地があります。一度一緒に見てもらえませんか?」こういう相談をいただくことがある。すでにこの時点で「ココがいい」とご夫婦で決断済み、第三者にドン!と背中を押して欲しいというケースが比較的多い。購入の決断には「立地」「価格」「日あたり」「広さ」などいろいろなポイントがあるが、いつも私が質問することは「本当にココでいいんですか?」

子育て真っ最中の世代の多くに共通する点は「校区(学区)」へのコダワリだ。「お友だちがたくさんいるから」「転校させたくない」「○○小学校に通わせたい」等々、親としては当然のことかもしれない。ここで肝に銘じておいていただきたい。一戸建でもマンションでも「不動産」と呼ばれるものは一度購入するとカンタンには動かせないということ。



9年前に土地を購入し新築されたAさん。通勤時間が1時間も長くなる場所だったが、希望する「校区」を基準に選んだ土地だ。しかし最重要視した「校区」という選択理由はお子さんの成長とともに消え去った。そして冷静に考えてみる。これから住宅ローンが終わるまでの20数年間、定年退職までの20数年間、この長時間通勤を我慢し続けなくてはならないのか。

そこで不動産業者に査定を依頼した。査定結果は住宅ローンの残債を500万円も下回るものだった。30年元利均等返済のAさんの場合、返済開始10年目で元金は約2割しか減少していない。結局住み替えをあきらめ長時間通勤は現在も続いている。

ライフプランという言葉がある。住宅不動産を購入する際には必ずライフプランを検討して欲しい。

5年後、10年後、15年後・・・30年後の家族の姿を未来予測する。もちろん将来のことなど誰にもわからないから夢や希望で構わない。横軸に家族の名前、縦軸に経過年数を書いた表を作り、○○年後にはひとり一人が何歳になり、「子供たちにはこんな風になっていて欲しい」「自分たちは多分こうなるだろうな」とうノリでドンドン記入していく。

・家には誰と誰が住んでいるだろうか
・子供たちはどこで暮らしをしているだろうか
・繰上返済は何年目に可能だろうか
・親と同居しているだろうか
・リフォームが必要だろうか
・住み替えしたくなるかな

こんなことを思い描きながらライフプランを作成してみるといい。一見バカバカしい作業に思えるかもしれないが、この作業をすることで土地を〝ココ〟に決めるための優先順位が見えてくるはずだ。それだけではなく間取りや家のボリュームを検討する際にも有効になる。直近の数年間だけを最優先して「あとは何とかなるさ」といった考え方では後悔することになりかねない。必ずローン返済期間以上のライフプランを立ててみることをお勧めする。

最後にもう一つ。建築業者や不動産業者など「信頼できる相談相手」を早めにみつけること。何でも「自分でやりたい」という人を否定はしない。ただ、法規制や現地調査、売主との条件交渉、ローン手続きなどには専門知識や労力を要することが多々あるものだ。タイミングひとつでチャンスを逃してしまうことさえある。住宅不動産購入における失敗は、クルマや家電とは違い、人生に大きなダメージとして残る。このことを常にアタマに置いておくことが必要だ。

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