Q:注文住宅の請負契約で注意するポイントを教えてください。

はじめまして。■■県の●●と申す者です。突然に大変失礼かとは存じますが、初めての家づくりに際しアドバイスをお願いできればとこのメールを送らせていただきます。現在注文住宅を計画しておりまして、今週末に請負契約を結ぶことになりました。全国規模のハウスメーカーですから何も心配はいらないとは思うのですが如何せん何事も初めてのことばかりです。請負契約に臨むにあたり注意するポイントがあれば教えていただけると大変助かります。お手数をおかけいたしますがどうぞ宜しくお願い申し上げます。



A:回答

『中途半端な内容での契約は避ける』

新築計画も節目の請負契約の段階になると随分現実味をおびてきたのではないでしょうか。いよいよ家づくりの本格的なスタート!といった感じだと思います。

反対にハウスメーカーの営業マンには請負契約時点が最大のヤマ場です。住宅営業マンの第一の目的は請負契約書にサインと捺印をもらうことです。

時にはまだ工事内容が煮詰まっていないにもかかわらず契約締結を迫るケースも少なくありません。

「決算値引きの適用は月末までの契約が必要です。」

「契約でキャンペーン特典の権利を確保してください。」

「契約は単なる意思表示の儀式。詳細は契約後の打ち合わせで詰めます。」

消費者心理をくすぐる営業トークを使ってクロージングにかかります。

中には滅茶苦茶な理由を押しつける輩もいます。

「●●様の契約で営業成績がトップになります。お願いします!」

また建築地が決まっていない場合でも、規格型商品の建物本体部分だけで契約することさえあります。土地が決まれば再度詳細を詰めて追加変更契約を結ぶやり方です。一般的に人は一旦契約を結ぶと余程のことがない限り解約はしないものです。だからあの手この手で契約書へのサインと捺印獲得に全力を傾けます。

注文住宅の請負契約はとても重大な法律行為です。とりあえず結ぶような軽々しいものではありません。請負契約には百万円単位の契約金の支払いも発生します。営業マンの成績とか会社の決算数字とか、家の出来栄えにはまったく関係のない相手の身勝手な理由のために大事な家づくりのプロセスを左右されたのではたまったものではありません。

もちろん注文住宅の場合には契約時点ですべてが完璧に決定していることは稀です。しかし少なくとも今契約することに施主が十分納得していることが最低条件です。●●さんの状況はわかりませんがもう一度よく内容をチェックして契約に臨んでいただきたいと思います。

『契約書類をチェックする』

一戸建て注文住宅の契約には特に決まりはありませんが、一般的に次のような書類が用意されます。それぞれのポイントは以下のようになります。

書類
ポイント
1.工事請負契約書
※工事請負契約書(サンプル)
特に工期(着工・完成・引渡し)・請負金額・支払方法(回数・金額)は重要です。後々のトラブルを避けるために十分な説明を受けて確認しましょう。
2.工事請負契約約款
※工事請負契約約款(サンプル)
履行遅延・違約金・瑕疵担保・支給部材の取扱い等、万が一のトラブルに備えたとても大切な項目が記載されています。ただしサンプルを見てもお分かりのように法律の条文のように難しい文章で書かれているため「また時間がある時にでも目を通しておいてください」と説明を省略する営業マンがいます。とんでもないことです。難しい内容をわかりやすく説明するのが彼らの仕事ですから遠慮せずに必ずすべての条項の説明を受けてください。中にはきちんと説明できない営業マンがいます(読んだことがないのです)。その時は上司を呼び出して説明を受けましょう。
3.設計図(配置・平面・立面・給排水設備・仕様書) 図面の内容が契約前の最終打合せ通りか確認してください。いつの間にか配置が動かされていたなんてこともあります。
4.見積書 見積り内容が契約前の最終打合せ通りか確認してください。この見積り内容があとで発生する追加変更契約の基になります。

可能ならば事前にその会社が使用する工事請負契約書、工事請負契約約款のひな形をもらって一度目を通しておくと、疑問点が浮き彫りになり落ち着いて契約に臨むことができると思います。

『絶対に妥協はしないこと』

万が一、契約の席で納得できない状況になったら絶対に妥協してはいけません。その日は契約せずに帰る覚悟で納得できるまで交渉することです。

またその時に取り決めた内容は営業マンに言って必ず記録に残してもらいましょう。ハウスメーカー側もなんとか契約してもらうための説明やあれこれ条件を提示したりします。あとで言った言わないのトラブルにならないよう気をつけましょう。

その日に契約しなければ好条件(値引きなど)がダメになるのなら、それでもいいくらいの気持ちで臨んでください。一個人にとっての家づくりはそれくらい重い一大事業です。

こんなことまで言っていいの?と躊躇することはありません。本当に納得できるまでトコトン質問しましょう。

決してハウスメーカーとの関係をこじらせることを勧めているのではありません。何事も最初が肝心ということです。

注文住宅の家づくりでは「この施主はきちんとしないとうるさいぞ。」と思われるくらいが丁度いいのです。

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