Q:繰上返済のメリット・デメリットを教えてください。
こんにちわ。●●と申します。先日は丁寧なアドバイスを有難うございました。図々しくて申し訳ないのですが住宅ローンについてもう一つ質問させてください。繰上返済という方法があるそうですがメリット・デメリットを教えてください。我が家はこれまで大きなローンを利用したことがなくて自動車を買うときもいつも現金です。さすがに家を買えるほどの現金は無理です。夫婦ともに変動金利は性格的に嫌なので今回は固定金利のフラット35の利用を考えておりできるだけ早く返済したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。A:回答
『繰上返済の種類』
繰上返済には借入金残高を一括して返済する「全額繰上返済」と借入金残高の一部を返済する「一部繰上返済」の2通りの方法があります。
そして「一部繰上返済」では(1) 毎月の返済額はそのままで返済期間を短縮する方法【返済期間短縮型】と(2) 返済期間は変えずに毎月の返済額を少なくする方法【返済額軽減型】のどちらか好きな方を選択できます。
『返済期間短縮型と返済額軽減型』
今回は●●さんが希望されているフラット35を例に「一部繰上返済」の効果をみていきましょう。
<当初の借入条件>
・借入額:2,000万円
・金利:3%(固定)
・返済年数:30年
・ボーナス返済:なし
■返済表 | |||||
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次に返済開始から5年後に100万円を繰上返済する場合です。
まずは【返済期間短縮型】。
■5年後に100万円繰上返済する場合の返済表【返済期間短縮型】 | ||||||
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続いて【返済額軽減型】。
■5年後に100万円繰上返済する場合の返済表【返済額軽減型】 | ||||||
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『総返済額は【返済期間短縮型】の方が少なくなる』
総返済額を比較すると【返済期間短縮型】の方が【返済額軽減型】よりも▲616,191円少なくなります。
『早い時期に繰上返済する方が効果は大きい』
住宅ローンの利息は借入元本の残高に対してかかります。
したがって20年後よりも10年後、10年後よりも5年後と残高の多い早い時期ほど効果が大きくなります。
上記の借入条件のもと【返済期間短縮型】で比較してみると次のようになります。
■繰上返済時期による総返済額(減額)の比較
5年後 | ▲1,038,847円 |
10年後 | ▲773,500円 |
20年後 | ▲330,328円 |
『繰上返済は家計に余裕があるときに』
繰上返済は月々の返済額のうちの元本分を、当初の予定よりも早くたくさん返すことで利息を減らす方法です。借金を早く返してしまいたい、あるいは月々の返済額を減額したいという気持ちは当然皆さんにあるでしょう。したがって基本的にメリットはあってもデメリットといえるものはないと思います。
ただ注意しなければならないのは、繰上返済に躍起になり過ぎて、手元にまとまったお金が無くなってしまう状況は避けるべきです。家族のこと、仕事のこと、健康のこと、誰にも将来のことはわかりません。いざというときのための蓄えまでも繰上返済に注ぎ込んでしまうのは考えものです。繰上返済の原資には、例えば住宅ローン控除の還付金をあてたり、定期預金や生命保険の満期返戻金とか想定外の臨時収入など余裕のあるお金を利用するのもひとつの方法だと思います。
住宅ローンはどんなローンと比べても低金利で長期返済が可能です。万が一、将来まとまったお金が必要になっても同様の条件の融資は他にはありません。特にフラット35の場合は長期固定金利、保証料ゼロ、繰上返済手数料もゼロというとても有利な制度です。そういったことも頭の中に置いて、マイホームでの暮らし、将来への安心、そして家計とのバランスを考えながら返済計画を組むことが大切だと思います。
返済期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
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メリット | ・返済期間が短くなり完済時年齢を前倒しできる。 ・総返済額が減少する。 (減少額が返済額軽減型よりも多い) |
・毎月の返済額が減少し家計負担を抑えられる。 ・総返済額が減少する。 |
デメリット (注意点) |
・期間短縮の結果、返済期間(初回返済日から最終回返済日まで)が10年未満となった場合住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の対象外になる。 ・将来家計が苦しくなった時でも再び返済期間の延長はできない。 |
・総返済額は減少するが返済期間短縮型に比べると多い。 |
※参考:家づくりのQ&A「元利均等返済と元金均等返済のメリット・デメリットは?」への回答はこちら
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