Q:建築工事代金の前払いについて教えてください。

はじめまして。●●と申します。近々■■ハウスと請負契約を結ぶ予定です。そこで質問があります。担当してもらっている営業の方からは契約金200万円を契約時に支払って欲しいと説明がありました。契約金額は消費税込みで1,942万5千円です。まだ何も工事が始まっていない時点でこの額のお金を支払うのは妥当なのでしょうか。建築工事代金の前払いについて教えてください。よろしくお願いします。



A:回答

『ガイドラインが基準』

土地や建売住宅、マンションの売買は宅地建物取引業法(宅建業法)の中に手付金に関する決まりがあり、宅地建物取引業者は次の場合、手付金の保全措置を講じた後でなければ買主から手付金を受け取ってはならないことになっています。

----手付金の額---------------------------------------
・工事完了前の売買→売買代金の5%または1,000万円を超えるとき
・工事完了後の売買→売買代金の10%または1,000万円を超えるとき
-----------------------------------------------------

保全というのは受け取った手付金を銀行や保証会社などに保証、保管してもらい、万が一業者が倒産などで返せなくなったときにはそこから支払ってもらう仕組みです。

土地や建売住宅を購入する場合には、契約前の重要事項説明の際に必ずこの手付金を保全するかしないかという説明がなされます。

しかし注文住宅は宅建業法の適用外です。住宅会社と工事請負契約を結ぶときに支払う契約金(前払い金)には保全措置を講じるよう決められた法律は何もありません。契約金をはじめ工事期間中の支払いについても厳格なルールはなく、各社独自のルールに基づき業務を行なっているのが現状です。

そのためしばしば建築業者の破たんで、多額に支払われていた前払い金の問題が噴出します。まだ着工もしていない時点で工事総額の7割とか1千万円を超えるような金銭を支払っていたという話です。まさか自分の選んだ会社が破たんするとは誰も考えてはいないでしょうから、営業マンに言われるがまま、何の疑いもなく支払ったのでしょう。

そもそも注文住宅の場合、工事の出来高に応じて支払いをするのが基本であり、よほど特殊な現場でもない限り、現金じゃないと仕入れができないとか、現金で日当を払わなければ職人が手配できないような状態であれば、もうその会社はすでに危険信号です。つまり住宅会社が多額の前払い金を要求するのは差し迫った支払いに充てる目的がほとんどであり、受け取るお金を以前の現場の支払いや銀行の返済に回す、正に自転車操業という状態でしょう。足を止めとたんに倒れます。

注文住宅の前払い金について、かつてはハウスメーカーの多くが、25%ずつの4回払いとしていましたが、現在は業界団体の定めた次のガイドラインがひとつの基準になっています。

【契約時(10%)着工時(30%)中間時(30%)竣工時(30%)】
【契約時(10%)着工時(30%)中間時(40%)完成時(20%)】

出来高という考え方からすると、契約時の10%は「?」と感じるかもしれませんが、契約の「証(あかし)」と考えれば妥当ではないかと思います。今回●●さんが提示されている200万円は約10%ですから、さほどおかしな金額とは言えないのではないでしょうか。

また住宅ローンの中間金つなぎ融資(50~60%)の多くが、上棟後の中間検査の合格を条件としていることから、着工~上棟で約60%というのも納得できる数字だと思います。この割合をアタマに置いて支払い条件の交渉をすればいいと思います。

なお、住宅会社側が施主の資金繰りが把握できる住宅ローンを利用するケースと、財布の中身が正確に把握できない全額現金払いのケースでは基準を変える会社があるかもしれません。よく確認しておきましょう。

『不安があれば遠慮せずに質問する』

住宅会社に家づくりを相談すると年齢、家族構成、勤務先は元より年収、預貯金の額、親からの援助、住宅ローンの借入額や返済計画、おまけに自動車ローンやクレジットカードの枚数までも根掘り葉掘り尋ねられます。

なぜなら家を建てる能力があるお客さんかどうか見極めなければならないからです。万が一、建築途中で資金ショートして支払いをしてもらえなくなると大変ですから。

でも逆に施主側から住宅会社に根掘り葉掘り質問することはほとんどありません。こちらは初対面のときから他人には知られたくない個人情報までサラケ出しているのにです。

家づくりを任せても大丈夫かどうか心配なら、遠慮せずにズバッと質問するべきです。気になれば決算書類を見せてもらったり、直近の受注実績仕掛り現場の数なども尋ねてください。数字の大小ばかりが重要ではなく、誤魔化さず誠実に回答・開示してくれるかどうかを見極めることです。

過去の作品集をみせられたり、退屈な自慢話をいくら聞かされても将来への安心の糧にはなりません。おかしな条件を提示されたら決して鵜呑みにせず、被害者にならないよう気をつけたいものです。

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