「外断熱」と「内断熱」【2009/03/11】

「外断熱(外張断熱)」VS「内断熱(充填断熱)」

商談現場をはじめテレビCMや雑誌、チラシ上で熾烈に繰り広げられる口争に、一般の住宅取得者が「いったいどちらがいいの?」と戸惑うのも無理はない。外張断熱は、文字通り柱の外側から断熱材を張る方法のことで、一方の充填断熱は、内部から柱など構造体の間に断熱材を隙間なく詰め込む方法のこと。

建築基準法などに「こちらのほうが優れている」と明記されていれば簡単な話だが、そんな法律はない。大きな価格差が生じる選択だけに施主にとっては非常に悩ましい問題となる。



第三者的な専門家の意見や私の経験から言えば、いずれの方法を採用しても、きちんとした断熱材を使用し、正しい施工作業を行えば、希望する断熱性能を得ることは可能である。ただし工法によっては話しが違ってくる。

まずコンクリート造の場合。コンクリートには蓄熱(熱をためる)性質がある。昼間の太陽に照らされたコンクリートが夜でも熱を持っていることは誰でも知っていることだ。したがって、その外側で断熱する外張断熱のほうが充填断熱よりも優位と言えるだろう。

次に鉄骨造の場合。柱などの構造体が熱を伝え易い鉄骨でできており、その鉄骨が断熱材を分断してしまう充填断熱よりも、やはりその外側で断熱する外張断熱のほうが優位と言えるだろう。

では木造の場合はどうだろう。充填断熱で断熱材を分断する柱(木材)自体には断熱性能がある。したがって、木造の場合はコンクリート造や鉄骨造のように外張断熱のほうが充填断熱よりも優位であるとは決して言い切れないと思う。

単純に二つの断熱方法を見比べると、構造体を外側からすっぽりと間断なく包んでしまう外張断熱のほうが方法としては優位にあることは間違いないと思う。しかし、外張断熱には次のような点もあることを覚えておきたい。

1.柱の外側で断熱するため断熱材で囲まれた室内の気積が大きくなる。
2.柱の外側で断熱するため外壁ラインが外側に拡がることになる。
3.建築コストが高くなる可能性がある。
4.新しい方法のため施工品質にバラつきが生じる可能性がある。
5.室内の気密が高まり過乾燥になる可能性がある。

特に3のコストについては結構大きな金額差が生じることなので、流行やイメージだけに左右されず慎重に選択する必要がある。そして4の施工品質については(もちろん充填断熱でも同様)、ただ単に外張断熱という説明だけでなく、施工現場の見学、使用する断熱材、施工方法、施工実績などの重要ポイントを契約前の商談段階でしっかりと押さえておくべきである。

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