Q:ローコスト住宅はやっぱり安かろう悪かろうなんですか?

ローコスト住宅についてお尋ねします。●●と申します。現在32歳で、まだ漠然とですが、1年内に一戸建ての我が家を持ちたいと思っています。このたび両親から土地をわけてもらえる話が持ち上がり、急きょ家の情報収集を始めたところです。共働きでいくらか貯金もありますが、できるだけ予算を抑えたシンプルな家がいいと妻とも話しています。先日、昨年有名ハウスメーカーで建てた人に値段を聞いたところびっくりする金額でした。45坪で総額3500万もかかったそうです。格好いいシステムキッチンでユニットバスも大きく太陽光パネルもついていて、希望を積み上げていったらその金額になったとそうです。またローコスト住宅は、最初は安いかもしれないが、いずれ不具合がでて結局高くつくとも。ローコスト住宅のモデルハウスも見学させていただいたのですが、私たちには十分満足できる家だと感じましたが、なにぶんにも素人だからですね。実際にローコスト住宅はどうなのでしょうか。やっぱり安かろう悪かろうなのでしょうか。安物買いの銭失いになってしまうのは嫌です。もしよろしければご意見をお聞かせ願えませんでしょうか。お願いいたします。



A:回答

『ローコスト住宅に対する先入観』

ローコスト住宅という言葉にはマイナスの先入観をもつ人が多いですね。

・安かろう、悪かろう
・住宅性能が劣る
・欠陥住宅が多い(手抜き工事)
・アフターサービスが悪い(売りっぱなし)

あまりいいイメージを聞いたことがありません。

確かにかつてのローコスト系住宅の中には行き過ぎたコストダウンから下請け業者を値切り倒し、その結果手抜き工事が発生したとか、お客さまと出会って3回目で契約できなければ態度が豹変するとか、アフターはほったらかしで裁判沙汰になったりしたとか、経費を削れるだけ削り、とにかく安く早くいっぱい売って、早く集金することばかりに重きを置く会社がありました。そんな会社の評価がローコストはダメだという通説の一因になっているのかもしれません。

私はローコスト住宅と言われているすべてが安かろう悪かろうだとは思いません。特に注文住宅の場合は計画ごとにきちんと精査検討してみなければわからないというのが正直なところです。


『図面と見積内訳書でローコストの理由を確かめる』

デフレの世の中になり小売業界ではユニクロに代表される低価格商品に人気が集中し、「価格破壊」という言葉さえ生まれました。ユニクロの商品が売れる理由のひとつは、人件費の安い国の労働者をきちんと指導して作っているから安くて高品質、それをみんな理解できているから安心なんだと思います。

住宅業界をみてみましょう。広告段階では、かつてのローコスト住宅の販売価格帯(坪単価30~40万円)が珍しくなくなり、さらに安い価格帯(坪単価20~30万円)が現代のローコスト住宅として登場しています。いったいこれまでの価格は何だったんだろうという声さえ聞かれるほど住宅価格は下落しました。

住宅業界はとにかく価格透明性の低い業界です。契約前でも資金計画書程度の見積書しか渡されず、なぜ安いのか精査のしようもありません。どういう種類の材料をどれだけの数量使用するのか、大工工事はいくらか、設備機器は・・・、といった詳細内容をみてはじめて比較検討ができるはずです。大手ハウスメーカーであっても「本体工事」「付帯工事」「オプション」「外構工事」「総額」、たったこれだけの数字で結論を迫る会社がありますから呆れます。ぜひ商談中の会社にはちゃんと図面見積内訳書を提出してもらい、内容を見て判断するようにしましょう。


『現場見学で体質を確かめる』

そして建築中の現場を必ず確かめることです。最近の家は完成してしまえばどこの建物か区別がつかないほど似通っています。お化粧したらみんな同じ顔にみえるのと同じです。お化粧して着飾ったモデルハウスを何度見学しても、その会社の体質まではわからないということです。

ある有名なローコスト系で建てた建築主に伺った話ですが、建築主が自分の家の建築現場を見に行くのにもいちいち建築会社の許可が必要で、許可がなければ中に入れてくれなかったそうです。綺麗にお化粧したモデルハウスは自慢しても、よほど現場は見せられないのでしょう。信じられません。結局、本社の社長にまでクレームを伝えて自由に立ち入ることができたそうですが、その後の営業マン、現場担当者との関係はギクシャクしたものになったようです。

技術面を素人が見極めるのは難しいでしょうが、素顔のままの現場で、整理整頓、職人のマナー、近隣対策、路上駐車の有無などは誰でもみればわかります。どんなに優れた計画があっても、家づくりの良し悪しは結局現場で決まります。一事が万事。いい加減な現場の会社がいい家を建て、いいアフターサービスをすることはありません。できれば隠れてしまう「基礎工事」「上棟後の柱や梁がみえる状態」「内装下地工事」の3工程は見ておきたいところです。


『ローコストでロープライスかを確かめる』

少し余談になりますが、コストとは原価であり売価はプライスです。だから売価の安さをアピールするならローコスト住宅という言い方はある意味おかしな感じです。ロープライス住宅が正解だと思います。知恵を絞り企業努力をしてコストカットを実現し、それをロープライスで提供するというなら消費者に利益を提供する経営だと言っていいでしょう。そういった会社がどれだけあるかが問題です。

住宅の価格構成は大きく分けると次のようになります。

1.材料費(柱、屋根材、設備機器など)
2.人件費(職人の手間賃など)
3.諸経費(営業、広告宣伝、現場管理など)
4.利益

工業化率の高い商品住宅などは、1と2のコストカットが可能なので、もっとロープライスであってもいいのですが現実には違います。3と4のコスト高が影響しているのだと思います。

あるハウスメーカーと契約した方が契約の場に行くと、担当営業マン、上司の課長、その上司の営業部長、そのまた上司の支店長、現場担当者、工事部長、設計課長、インテリアコーディネーターの8人もの人間がテーブルの向こう側にいてビックリ。名刺をもらうだけでも大変です。そして契約調印の間にお茶とコーヒーが3回も出てきて、それを3人の女性受付スタッフが担当。帰りの車の中で奥さんと「私たちのお金の一部もあのたくさんの社員さんの給料になるのかしら」と話したそうです。

家づくりの本質には関係のない経費が、価格の中にどれくらい含まれているのかを考えてみることも必要なことだと思います。

※参考:家づくりのQ&A「ローコスト住宅はなぜ坪単価が安いのでしょうか?」への回答はこちら
※参考⇒ハウスメーカー比較【坪単価ランキング】はこちら

⇒家づくりのQ&Aへ






家づくりのQ&Aアクセスランキング
Q&Aランキングハウスメーカーの坪単価はいくらくらいなのでしょうか?
Q&Aランキング注文住宅の請負契約で注意するポイントを教えてください。
Q&Aランキング元利均等返済と元金均等返済のメリット・デメリットは?
Q&Aランキングハウスメーカーと地元工務店の売りの違いはなんでしょう?
Q&Aランキング現場見学会のポイントはありますか?