Q:ローコスト住宅はなぜ坪単価が安いのでしょうか?
はじめまして。■■在住の●●と申します。予算が少ないのに注文住宅を検討中でローコスト住宅に興味があります。チラシをみて安さに惹かれています。ただ本当にチラシの金額で建つのでしょうか。なぜこんなに坪単価が安いのでしょう。ネットには実際住むには追加費用がかかると書いている人もいます。どうぞよろしくお願いします。A:回答
建築主からすれば安いにこしたことはありませんが、安ければ安いなりに不安が生じてくるのも消費者心理というものです。特に住宅は安いと言っても総額1000万円を超えるのがあたり前ですから当然です。
『延べ床面積と施工床面積の違いが大きな差を生む』
ローコスト住宅は実際に安いのか。坪単価は次の式で計算します。
坪単価=工事費÷床面積(坪数)
この坪単価の計算の元となる「床面積(坪数)」に注目してください。
どんな床面積を使っているかで坪単価は驚くほど違ってきます。
信じられないかもしれませんが「坪単価」の表示方法には決まりがないのです。
例えばまったく同じ内容、同じ総額の家であっても、坪単価を算定する際の「床面積」を、
A社⇒建築基準法上の延べ床面積で計算
B社⇒自社で定めた施工床面積で計算(延べ床面積には含まれないバルコニーや吹抜、玄関ポーチ等を追加)
とした場合、次の例のような現象が起こります。
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・延べ床面積 30坪 1500万円
・施工床面積 38坪 1500万円
【バルコニー2坪+吹抜4坪+玄関ポーチ2坪=合計8坪を加算】
・A社の坪単価⇒ 1500万円 ÷ 30坪 = 50万円/坪
・B社の坪単価⇒ 1500万円 ÷ 38坪 = 39.4万円/坪
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なんとまったく同じ家なのに坪単価に10万円以上も差が生じます。
総額は同じでも数字のマジックでこんなことが起こるわけです。
『モジュールの違いに注目!』
また家を建てる際の基準寸法であるモジュールも会社によってバラバラです。
91センチ(尺モジュール)のこところがあれば1メートル(メーターモジュール)の会社もあります。
尺モジュールとメーターモジュールの違いを見てみると次のようになります。
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例)1帖の大きさ(広さ)
91センチ(尺モジュール) ⇒1.66㎡
1メートル(メーターモジュール)⇒2.00㎡
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比べてみると1.2倍も違ってきます。床面積が1.2倍大きくなったからといっても普通は玄関も階段もひとつずつで変わりません。システムキッチンや浴室、洗面台などの設備機器も変わりません。したがって工事費には大差がないにもかかわらず、床面積に1.2倍もの差が生じるため、同等の間取りなら、結果的にメーターモジュールのほうが坪単価が安くなります。
このように住宅建築の価格はハウスメーカーや工務店ごとに採用する基準が不統一なため、正しく比較するには計算の元になっている数字を調べ、十分に精査する必要があります。
坪単価の説明を受けるときには「床面積」「モジュール」の種類を必ず尋ねてください。
『どこに知恵を絞った結果なのか、その理由を確かめる』
そしてもうひとつ大事なことは、どこに知恵を絞った結果のローコストなのかということです。
必ず各社のローコストの理由を確かめましょう。
(例)
・資材の大量購入
・箱型総二階の単純な外観
・下請け業者への発注額の見直し
・営業経費や広告宣伝費の抑制
・自社の利益をギリギリまでカット など
何らかの理由があるはずです。見積書を見てもわかりません。営業マンや工務店社長に直接質問してください。
なぜ安くできるのか。上で説明した「施工床面積」や「メーターモジュール」が理由なのかもしれません。
明確に答えられるかどうかも見極めには大いに役立ちます。
以前、坪単価20万円台を売りにするローコストメーカーの社長が雑誌のなかで、最終的には坪単価40万円くらいにはなると答えていました。ローコスト住宅の中には、基本仕様を最低限の内容にして、当初の設定価格を低く抑えているものがありますから追加費用の発生は往々にして起こります。例えばコンセントを増やすと1か所1万円プラスになるとか。あとで予算オーバーにならないためにも本格的な商談に入る前に、広告の坪単価に含まれる仕様や設備を確かめておくといいでしょう。
支払うお金はあくまでも総額です。希望する内容の家が、総額いくらで建築できるのかどうか、これが一番大事です。
※参考:家づくりのQ&A「ローコスト住宅はやっぱり安かろう悪かろうなんですか?」への回答はこちら
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