Q:家の引渡し時に注意するポイントはありますか?

はじめまして。現在我が家を新築中で月末には引渡しを受ける予定です。工事は順調に進んでおり、このまま何事も無く入居ができることを祈るばかりです。そこでお尋ねしたいのですが、家の引渡し時に注意するポイントはありますか?お手数をお掛けしますがどうぞよろしくお願いします。



A:回答

『竣工検査(施主検査)は引渡し日の前に時間をかけて行う』

ハウスメーカーでも工務店でも、建物の引渡し前に施主(建主)立ち会いのもとに竣工検査(施主検査)を実施します。

竣工検査は、建物が打ち合わせ通り間違いなく出来上がっているかどうかを調べるものです。竣工検査前には、建築業者が独自の社内検査を行なっていますが、見落としているキズや建具の未調整箇所などがあるかもしれません。ついつい完成の嬉しさに舞い上がり、チャッチャッと短時間で済ませてしまいがちですから、できる限り時間をかけ、外部、内部の隅々まで検査をするよう心掛けましょう。

ハウスメーカーや工務店によっては、引渡しの当日に、10分くらい家の中を一緒にグルっと回ってハイ終わり、みたいないい加減な検査をするところもあるみたいです。自分のためです。きちんと事前に実施してもらいましょう。

例えば床鳴り(床のキシミ音)や建付けの悪いドアやサッシなど、せっかく新生活が始まったのに、いきなりストレスの元になりかねません。入念にみておきたいところです。システムキッチン、浴室、給湯、照明、空調、あるいは太陽光発電といった設備機器の通電・稼働チェックなども忘れないように実施しておきましょう。

検査の中で気になった箇所は、もれなく担当者に伝えて記録してもらい、手直し日、その内容を約束しておきます。そして、すべての手直し、調整が完了したら引渡しを受けるようにします。中には時間の都合で引渡し入居後でしか作業ができないこともあるかもしれません。その場合も、よく説明を受け納得した上で約束するようにしましょう。

『引渡し時に受け取る書類』

引渡し時には次のようなたくさんの書類を受け取ります。

・鍵
・引渡証
・保証書(建物・設備機器)
・建築確認関係書類
・公的検査関係書類
・アフターサービス関係書類
・登記関係書類
・取扱説明書(設備機器など)

その他、建築業者によっては工事期間中の施工写真アルバムを贈呈したり、第三者機関を利用した独自の検査報告書を提出するところもあります。

引渡しでは図面に気をつけてください。

一般的な住宅の工事では次のような図面が作成されます。

1.基本設計図面(配置・平面・立面・断面)
  請負契約書に添付されているのはほとんどこれです。
2.実施設計図面(平面詳細・展開・矩計・構造・設備)
  一部が請負契約書に添付されることがあります。
3.申請図面
  建築確認申請に必要な図面です。建築基準法などの法律に関する記載がなされたもので、
  確認済証に添付され通常は引渡しの際に手渡されます。
4.施工図面
  実際に現場での施工に使用する図面です。各部の納まりや割付けなどを記載し、
  普通は施主がみることはありません。
5.竣工図面
  工事中の変更などを記載した完成時の最終図面です。

中古住宅の売買の際に、3の「確認済証」がないということがしばしばあります。とても大切なものなので紛失することのないよう注意してください。

『一番大切なものは竣工図面!我が家のカルテ』

そして、アフター・メンテナンスで一番大事なものは5の「竣工図面」です。竣工図面はいわば完成建物の工事内容が記録された病院でいうところのカルテになります。正確なカルテさえあれば、万が一、病院がなくなったり担当医が変わったとしてもひとまず安心です。

絶対に倒産しない安全な会社など日本中どこにも存在しません。5年後、10年後、20年後に施工したハウスメーカー、工務店に万が一のことが起きても全然不思議ではないでしょう。でも住宅の場合も正確な竣工図面がありさえすれば、たとえ別の建築業者にリフォームやアフター・メンテナンスを依頼することになっても建物の構造躯体、配管経路、電気配線などは一目瞭然です。

ただ現実には、竣工図面を作成して施主に手渡す業者はあまりありません。どんなに立派で詳細な手術計画書があっても、実際にどこを切りどこを縫ったかという手術報告書がないのと一緒です。住宅は「カルテがないなら再検査」と簡単にはいきません。X線やCT、MRI検査を受けるようにはいかないのです。

多かれ少なかれ工事中の変更工事は発生するものです。下の工程表(例)を見ていただければ1棟の家の工事には本当にたくさんの関連業者が関わることがわかるでしょう。およそ50~100人くらいは関係するはずです。それが現場監督と職人・業者のやり取りだけで進められ、きちんと図面として記録されていなければ、それはブラックボックスとなります。

※工程表(例)はこちら

ぜひハウスメーカーや工務店に「竣工図面はいただけますか?」と尋ねてみてください。図面は決して死にません。図面に倒産や廃業はありません。図面はあなたの家のカルテとなり、工事の証(あかし)となります。

※参考:家づくりのQ&A「建築現場のチェックポイントを教えてください。」への回答はこちら

⇒家づくりのQ&Aへ






家づくりのQ&Aアクセスランキング
Q&Aランキングハウスメーカーの坪単価はいくらくらいなのでしょうか?
Q&Aランキング注文住宅の請負契約で注意するポイントを教えてください。
Q&Aランキング元利均等返済と元金均等返済のメリット・デメリットは?
Q&Aランキングハウスメーカーと地元工務店の売りの違いはなんでしょう?
Q&Aランキング現場見学会のポイントはありますか?